日々の酩酊戯言
僕はいつもちょっとだけ間にあわない 2010/02/27 18:56:28
“あなたのピアノを処分しますね。一言断っておこうと思って…”
と母親から電話があった。
僕が小学二年生の時に買ったアップライトのピアノ。
もう三十年もうちにあったんだね。
近頃は誰が弾くでもなく調律もされずに放ったらかし。
たまに実家に帰っても見向きもしなかった僕に寂しがる資格なんてないけども、けれどやっぱり寂しい。
処分すると聞いた途端、様々な想い出が蘇る。
ちょっぴりセンチメンタルな気分にもなる。
甚だ勝手なもんだな。


ピアノ。
もっと練習すれば良かったな。
大事にすれば良かったな。
僕がピアノを弾くと父親は大好きなナイター中継を観ててもボリュームを小さくした。
母親は何か嫌なことがあると“エリーゼのために”をリクエストした。
発表会の時は家族みんなで観に来てくれたな。
あまり練習してない僕はヘタクソで、途中間違えたりもして、ホントいい加減で。
お婆ちゃんが観に来てくれたときもあったな。
お婆ちゃんは富山からやって来て、発表会の為にステキな服も用意してくれて。
でも、僕はそれを着るのがなんだか恥ずかしくて。
けれど着たよ。
その服を着てお婆ちゃんと撮った写真もある。
僕は凄く小さくて。
お婆ちゃんは若くて綺麗でニコニコしていた。


ピアノは中学三年生まで習った。
さすがにある程度は弾けるようにはなっていたよ。
でも、母親やお婆ちゃんにリクエストされても僕は面倒くさがって弾かなくなった。
部屋に入ってパンクロックを聴いていた。
多分きっとお婆ちゃんには哀しい思いをさせちゃったな。
今になってやっとわかるよ。
イツも何でも僕は時間がかかってしまう。


ふと映画『歩いても歩いても』のコピーを思い出した。

「人生は、いつもちょっとだけ間にあわない…」

ホントそうだな。
僕の場合は“ちょっとだけ”どころじゃない。
救いようがないな。


ピアノ。
またいつか弾きたいな。
ポロロンとあのコの前で弾きたいな。

小さな明かりを 一つ点け
あのコに聴かせたいな
人を愛した喜びや
心が通わぬ悲しみや
抑えきれない情熱や

思いのすべてを歌にして
あのコに伝えたいな
雨の降る日は雨のよに
風吹く夜には風のように
晴れた朝には晴れやかにね




てなわけで今宵は感傷的なのです。
なので、銀杏BOYZを聴きます。
ああ、優しい。