こう云う喜びもまたある

このまま順調に行けば後数ヶ月で無事四十九歳になるであろう私であるが、この年齢になってやっと「こ、これだっ!」と思えるズボン(いやパンツと言った方がナウいのかな)に出会えた。

履き心地最高。シルエット申し分なし。スニーカーとのバランスも極めて良好。それはもう気に入ってしまってしょうがなくて、今後の人生このワークパンツがあればもう無問題と思えるぐらいに御執心なのである。

しかし、着用し始めて、ひと月ほど経つのだが誰一人として「それ、イイね」と言ってくれる人がいない。でも、そこがまたイイのである。決して負け惜しみではなく。

そればかり履いているわけにはいかないので、もう一着欲しくなってしまった。私が購入したのはネイビーなのだが、どうやらナチュラルっつーのもあるらしい。はたして私は似合うのか?と思いつつも、いやでもこれだけ惚れ込んでいる逸品なのだ。ちょっと頑張って、もう一着ゲットしようぜ。と決心し、ネット上をあちこち彷徨うも。すでにどこの店でも完売となっていて驚いた。

でも、諦めきれずにいろいろ様々なキーワードで検索していたら、ついに発見。どうやらHPをリニューアルしてたらしく、その間販売出来なかったってのが理由らしい。ベリベリラッキーである。

で、一晩じっくり考えて、先ほど思い切って注文した。何しろ仕事用のワークパンツであるからにして。何にせよ必要なモノなのだと己に充分に言い聞かせてね。

気に入ったものが見つかったら、それがダメになっても、同じものを使い続ける。スニーカー(adidas campus)、キャップ(DECHO)、エプロン(Barber & apparel 中村商店)、そして今回のワークパンツ。(全部仕事着である)

こういうものたちが身の回りに少しずつ増えて行くと云うのは嬉しいものだ。自分が出来上がって行くような、そんな気持ちになれる。このワークパンツが、今後も発売されますように。モスグリーン、グレーを作ってくれますように。

股旅。

絶妙な塩梅でチョロリとね

当店のお客さんの中には、自営業をなされている方が結構多くて、その方々から同時多発的に幾人もに

「ショップカードはないんですか?
うちの店に置きたいんですけど……ルルルラララ」

と、とても有難い申し出を受けまして。

でも今あるのは名刺だけだし、そうなると個人情報をゴンヌズバーなわけで、じゃあそれならと今更ながらショップカードを作ることにしました。

そうなると、お客様方が営んでいるお店のカードも置きたいぜとカードディスプレイなるものを用意してみたのですが、これが、なんとなくそこはかとなくダサい。
格好良いカードを置こうとも、どうにも映えない予感しかしない。

なので、ちょいと色を塗り替えるべかと画策中な訳です。
ピピーンと来たのは、当店の外壁と同色のブルーグレーなのですが、なんだかこういうときってシンプルにオフホワイトとかの方がきっとイイのだろうな……
いや、もしかしたらこのままで良いのかも……

余計なことはしない方がモアベター。
これは数少ない、五十年近く生きてきて学んだことの一つです。
でもまあ、近々何かしらちょっと手を加えるとは思います。
絶妙な塩梅でチョロリとね。

で、手元にあるショップカードを置いてみたのですが、圧倒的に数が足りない。
仕方ないから、アナログレコードを買ったときに付いてくるダウンロードカードを置いてみました。
うむ、なんだか良いアクセントになっているような気がしないでもない。
ポイと捨てるのも忍びなくて取っておいたのだが、これイイかも。
いや、イイねこれ。
音楽好きっぽさがブイブイ出ててイイよ。

とりあえず、カードが出揃うまで、これで行こうと今さっき決めました。
こういうのはね、少しずつ増えて行くのが良いのですよ。
無理に隙間を埋めることはないんですよ。
焦ってやると、そこから綻びが出て来ちゃうものなんですよ。
これもまた数少ない、五十年近く生きてきて学んだことの一つです。

さてと。
思い出野郎Aチーム でも聴くとするかな。

股旅。

プレイリストに歴史あり

近頃マイブームなのが、以前自分が作った iTunes のプレイリストを聴き直すこと。

これが何とも新鮮で面白い。
かつて自分が選曲したものなはずなのに、全然自分の選曲のような気がしないのは何故かしら。

何処かの誰かが DOODLIN’ BARBER SHOP のために選曲してくれて、そのどれもが私の好みの音ドンピシャで、スゴいねアンタ、随分とオレのツボを熟知しているね!
と感嘆している感じ?
そんな気分なのである。

と同時に「自分ブレてないっす!」とも感じた。
明らかにそこにいる自分も感じるのである。
自分じゃないようだけども、絶対に自分なのだ。
言っていること無茶苦茶みたいだが、こういう気持ちわかるでしょ。

先代の iMac からのデータ、だから約十年分のプレイリストが保存されていることになるのか。
先代の iMac は新婚当時に買ったから、それつまり妻さんと過ごしたこの十年が凝縮されていることになるのか……と考えてみると何ともスペクタクル。

息子が生まれた頃合いのプレイリストもあって、それがどこからどう聴いても無敵のハッピー感満載で、何とも微笑ましい。
東日本大震災後、計画停電で明日をも知れぬ日々を過ごしていた頃のプレイリスト。
旅行に行ったときに車内で流す用のもの
開店十周年記念のもある。

プレイリストに歴史あり。
たかが十年、されど十年。
そこには我が家の歴史が刻まれているような、そんな気がした。
うむ、面白い。

変化し続けながらも、その芯は揺らがない

KIRINJI が今年いっぱいで現編成のバンド活動を終了するそうで、そうなると弟の泰行さんが2013年に脱退してからの活動になるから約7年でか……早いな……

と思ったが、ビートルズは1962年のレコードデビューから1969年リリースの事実上のラストアルバム(になるのかな?)である『アビイ・ロード』まで、たった7年で駆け抜けたのか……

ビートルズ凄すぎるな……
凄すぎて震えが来るよ。

ビートルズの凄さなんて語り出したら止まらないし、全然終わらないのだろうけど、私が思うビートルズの凄さをちょっとだけ語らせて欲しい。

デビューから解散までに、その音楽性はあちこち変化しまくったわけだが、でもその楽曲全てが完全にどう考えても、何処からどう見てもちゃんとビートルズなところが凄い。
なんなんだろ。
それはメロディなのかな。
ハーモニーなのかな。
何かビシッと筋が通っているなと思うのだ。

変化し続けながらも、その芯が揺らがない……
私も自分の店を15年続けてきたが、我がDOODLIN’ BARBER SHOP に芯はあるかな。
メロディやハーモニーみたいな何かがあるかな。
あると良いのだが、それは自分ではわからんって方が良さそうだ。
自分で言ったら野暮になる。

さすがに15年続けてきたら、自分の後ろに道が出来てきた気がする。
それは狙ったものではない。
気づいたら、いつの間にか出来ていた。
狙ったものは全部ダメだった。
何の気なしに継続してたことだけが、道になってた。
そんな感じ。

続けるって大事だな……
近頃、十数年ぶりになるようなお客さんが相次いで、あゝ続けてきて良かったってしみじみ実感したんだった。

そういえば、我が息子も来月で7歳だ。
彼の7年もビートルズの7年と匹敵する濃厚濃密ぶりだと思う。
息子が特別だってわけではなく、この誕生してからの7年は誰しもが過ごす濃密な期間だと思うのだ。

その濃密濃厚な期間を一生のうちで、もう一度過ごすことが出来たなら、それはきっと幸福なのだろうな。

今回もまた、話が行方不明になってきたので、そろそろ筆を置こう。

股旅。

それは憧れの世界

音楽喫茶MOJO 店主の昭太郎さんに勧められて観始めたアニメ『映像研には手を出すな』が面白い。
ちょうど良いタイミングで、第一話から四話までを一挙放送してくれたので、それを一気に観た。

正直、女子高生たちのアニメ制作活動を描いた物語だと聞いたときは身構えた。
いわゆる「萌え」的な感じなんじゃないかと。
片寄ったオタク的世界観なんじゃないかと。

でも全然違った。
情熱と若さがほとばしる青春物語だった。
こういう学園では日陰者的扱いされてきた文化部の方々に光を与えた物語が増えてきたのは喜ばしいこと。
私が十代の頃には、ほとんどなかったもんな。

私の青春時代に、この『映像研には手を出すな』や、全巻揃えてしまった漫画『BLUE GIANT』(世界一のジャズサックスプレーヤーを目指す物語)や『ブルーピリオド』(東京藝大を目指す物語)みたいな作品と出会えてたら、影響受けまくってもしかしたら私の人生が変わっていたんじゃないかしらと……
とかそんな妄想をするのが猛烈に楽しい。

私は中学、高校、大学とさりげなくサッカー部に所属していたのだが、実際は根っからの文化部気質。
ただ、その道を行き極めるなんてのは夢物語だったわけで、だから、その夢物語の中を直走るこれらの作品の登場人物たちが羨ましくてしょうがない。
『表現』をすることに向き合い立ち向かう。
それは『自分』とは何者なのかを探究し続けること。
それは私の憧れの世界なのだ。

と同時に勉強にもなるのよね。
アニメ、ジャズ、絵画、どれもなんとなく知ってはいたが、やっぱりハンパなく奥深いのだなと教えてくれるのだ。
物語に乗っかりつつ、その専門的分野にグイグイ入っていける。
必殺技なんてもちろんなくてさ。
天才も描かれていれば、努力の人も描かれていてさ。
それが、自分の周囲の「本当」だなってさ。
天才まで行かなくても、「華があるかないか」ってのがキモだよなってさ。

まぁつまり、こういう作品に、もっともっと触れたいなと思うのだ。
『映像研に手を出すな』の今後の展開が楽しみ。
実写化もするらしいけど、それには興味なし。
アニメで、あそこまでやるから面白いのだ。

なんだか話が行方不明になってきたので撤退するとしよう。