夏のぬけがら

天気予報が云うには、今日からまた猛暑がぶり返すらしい。
けれども二日過ごしやすい涼しい日を過ごした今は自分の中で夏は終わり始め。
云うならば夏のぬけがらって感じだ。

 

息子が飼っているカブトムシも活動量が一気に減ったと感じる。
息子の中の、カブトムシ&クワガタ熱もやや下がり気味。
それに変わって、カマキリ熱がグイグイと上がって来ている。
この辺りにも夏の終わりを感じる。
こうなるともう今後は残暑と言ってイイだろう。

 

でも、こう思い始めた途端、過ぎ去りつつ酷暑デイズがちょっと名残惜しい。
今年の夏の常軌を逸した暑さは強烈であったが鮮烈でもあったのだろう。
いつまでも「2018年のあの夏はとんでもなく暑かったな……」と記憶される夏になることだろう。

 

今ふと思い出したのだが「白いものは汚れが目立つから避けたほうがいいかな……」と考えがちだった僕に「汚れが目立つからイイんじゃない!」と考える妻の思考回路は鮮烈だった。
彼女の大いなる魅力の一つだろう。
凝り固まったものの考え方や見方も、少し角度を変えて捉え直すことで、ブワーッと世界が広がる。
妻と接していると、自分もいつかこういう人間になりたいと思わせられるから悔しい。

 

読みたい本と観たい映画がたまりっぱなしだ。
一つ一つクリアしていくしかないな。

 

それではそろそろ虫採りに行ってきます。

人にはそれぞれ事情がある

グリム、さくらトイス、トンボ屋、たなべ、土佐、坊や、ポストホビー、ポニーランド……

 

これらは私が生まれ育った街 新所沢にあったプラモデル屋とおもちゃ屋の屋号だ。

 

でも、今や現存するのはグリムのみ。
時代の波とでも云うのでしょうか、その荒波に飲まれていつの間にやら寂しく閉店してしまったんだった。
少年時代、これらの店を自転車であちこちグルグルと廻るのが楽しかった。
お金がなくても行った。
行けば気の合う友達がいた。
ただ見ているだけ、それで良かった。

 

 

でも、それが今はおもちゃ屋と云えばトイザらスの一択のみ。
それとネット通販ってとこか。
昔は良かった……だなんてことは言いたくないが、この点に関しては私の少年時代の頃の方が良かったんじゃないかなと思う。
これはもう全国的な流れなのだろうか。
今の町並みは、子供たちが愛着が持てないような気がしてちょっと寂しい。
そんな気がする。
こんなこと時折しみじみ考えてしまうのは、私も完全無欠のおっさんになった証拠だろう。

 

 

 

『人にはそれぞれ事情がある……』

 

これは、春頃に読んだ宮本輝さんのエッセイにあった言葉。
この考え方が身につくと、いろいろと日常で人に優しくなれる。
以前、お客さんとこんな話をした。

 

 

「狭い道を運転をしていて、対向車が来たとき。
さあどうぞって車を寄せて相手に道を譲るのですが、そのときに向こうから何のリアクションもないと腹が立つんですよ。
手をちょいと挙げるぐらいも出来ないのかって!」

 

 

そう鼻息荒い私にお客さんはこう返した。

 

 

「私が首ヘルニアを患っているとき、まさにそういう場面に遭遇したんですよ。
でもね、首が痛過ぎて手も挙げられなかったし会釈すら出来なかったんです。
だから私はそういう瞬間に出くわしたときは『あ〜あの人はきっと首ヘルニアなんだろうな!』と思うようにしたんです。
そうすると、それじゃあまあ仕方ないな!って思えるんですよ」

 

 

これには笑った。
そして、とても納得した。
なんか、嫌な態度を取られたり、嫌な言葉を言われたりしたとき。

 

 

「あ〜きっとあの人にはなんらかの事情があるんだろうな……抜き差しならない止むを得ない、避けることない事情が……多分きっと……」

 

 

そう思えたら腹立たしくならないし、むしろちょっと優しい気持ちになれたりして、その上なんだかありがたい気持ちにもなるから、人の気持ちって不思議だ。

 

 

要は気持ちの持ちよう……そういうことなのだと思う。

 

 

連日灼熱地獄ではあるが、それもきっとのっぴきならない事情があるからだろう。

 

 

ふふふ、なかなかやるじゃないか……

 

 

この酷暑に対して、そう思えれば完全勝利だ。

 

 

本日は定休日。
思いっきり積極的に休もうと思う。

 

それでは股旅。

The Endless Summer

おはようございます。

 

 

月曜日から昨日まで、お休みを頂戴して妻さんの故郷に行って参りました。
なぜかいつも、あちらに行くと二十一時くらいには眠くなってしまう不思議。
でもそれが、こちらに帰ってくると二十三時になっても全然眠くならない不可思議。
その非日常が英気を養ってくれるのでしょうね。
とても良い夏期休暇でした。
ありがとうございます。

 

 

妻の故郷には、義父さんの精魂が込められたガレージがありまして。
それはもう、男の夢がギッシリと詰め込まれたような場所でして。
あちらに行くたびに、そこを覗かせていただくことが楽しみであり、大いなる刺激になるのです。
それを近頃は、我が家の五歳の息子に見せることに重きを置いておりまして。
幼少時から良いものを見る、カッコイイを体感する、本物に触れるって絶対確実に大切なことだと思うのです。
夢中になって、ガレージ内を闊歩する息子の姿に、彼の輝ける未来を重ね見ている親バカが、この私なのです。

 

 

さて。
楽しかった夏季休暇もひとまず終わり。
今日からまたステキに仕事開始なわけです。
ありがたいことに、金土日とほぼ満席御礼。
ガッシガシ働かせていただきます。

 

 

いろいろ書きたいことがありましたが、息子が起きて来たので、ひとまず退却。
彼の夏休みはまだまだ続きますからね。
それを思うと、ほんのちょっとだけ気が遠くなります。笑

 

 

それでは股旅。

 

 

DOODLIN’ BARBER SHOP 店主 拝

心のガソリン満タン良い感じ

先ほど、ゴミ出しの準備をしていたら外で何やら物音がするので出てみると猫が二匹いて、僕の登場に驚いたのかスゴい形相でシャー!っと牙を剥かれました。
そこからさらに一歩踏み出したら、サーっと一目散に逃げて行きました。
何だか悪いことしちゃったかなぁ……と我が家の敷地内なのに意味不明な罪悪感に襲われております。
何なのこれ?

 

 

というわけで、おはようございます。
謎の進路を辿った台風が襲来しましたが、ひとまず猛烈な酷暑はひと段落。
あれがピークであることを切に願うばかりなのですが、まだ七月末だっつー現実に気が遠くなります。
梅雨明けが異常に早かったせいで今年の夏は長い長い。
もう一発、あの酷暑がやってきたらと思うと身震いしちゃいますが、それでも冷夏よりはましかなと思ってしまうから人の心ってのはまっこと不思議なものです。

 

 

というわけで、DOODLIN’ BARBER SHOP は本日より四日間夏季休暇を頂戴いたします。
夏休みの課題図書は、『田園発港行き自転車』(宮本輝著)と『邂逅の森』(熊谷達也著)。
夏休みの課題音楽は、マンフレッド・マンを熟聴しようと思います。
いつか、この酷暑を懐かしく思い出すとき、マンフレッド・マンがBGMになるっつー魂胆です。
シャレオツです。

 

 

夏期休暇が明けましたら、新型バッジとステッカーの制作に入ります。
これらはご来店いただいた方々にプレゼント出来たらと考えておりますので、どうぞもらってやってください。

 

 

三日(金)からは通常営業、四日五日の予約も既に入って来ておりますので、ご予約はこの夏季休暇中も受け付けておりますのでお早めに。

お盆も通常営業いたしますので是非とも!

 

 

さてと。
強烈に積極的に休みましょうかね。

 

それでは股旅。

 

 

DOODLIN’ BARBER SHOP 店主 拝

何もかもが大いに結構

ずいぶん前。

 

 

某ドキュメンタリー番組を見てたら、“7歳の頃から街中で日産のマーチを見かけたら数を数えているんです……” と言っている19歳の学生が出てて、“今、7万×××台なんです……” だなんて言うもんだから、胸に何かグッと込み上げるものがあった。

 

 

1日2日だったら、そんなことをした記憶もありますが、それが十二年も継続しているともなると気が遠くなる。
でも、それが羨ましいと思った。
人が到底出来ないことを頑張るでもなく努力するでもなく、それといった意味合いを持たせることもなく継続させる。
そんな物事を七歳で見つけられる感性。
ある意味、陳腐な物言いになるが “天才” なのだろうなと思った。

 

 

彼は、この番組でインタビューを受けた場所に毎日毎夜のように通っていて、大学に入ってからそこに何時間いたかを記録しているとも言っていた。
インタビュアーが「楽しい?」と訊くと「バイトもしてないし、楽しいことも何もないんで……」と応えていて、「まだ十九歳、可能性はたくさんあるじゃないですか?」と言われると「と言うのは今、僕が可能性を潰しているということですか?」と返していた。

 

可能性ってなんだろうか……

 

学生は続ける。

 

「周りを見ていてどう感じたり……他人が他人に合わせるために、自分を頑張って取り繕っているように思います……」

 

なんだか、この言葉がとても響いたんだった。
十九歳の青年の言葉に心動かさられる……大いに結構だと思う。
テレビって面白い、そうあらためて思わせてくれた青年であり番組だった。
テレビの可能性を感じた。
と同時に可能性ってなんなのよ?って青臭い疑問符も生じた。
何もかもが大いに結構だ。

 

 

そう思った。