プレイリストに歴史あり

近頃マイブームなのが、以前自分が作った iTunes のプレイリストを聴き直すこと。

これが何とも新鮮で面白い。
かつて自分が選曲したものなはずなのに、全然自分の選曲のような気がしないのは何故かしら。

何処かの誰かが DOODLIN’ BARBER SHOP のために選曲してくれて、そのどれもが私の好みの音ドンピシャで、スゴいねアンタ、随分とオレのツボを熟知しているね!
と感嘆している感じ?
そんな気分なのである。

と同時に「自分ブレてないっす!」とも感じた。
明らかにそこにいる自分も感じるのである。
自分じゃないようだけども、絶対に自分なのだ。
言っていること無茶苦茶みたいだが、こういう気持ちわかるでしょ。

先代の iMac からのデータ、だから約十年分のプレイリストが保存されていることになるのか。
先代の iMac は新婚当時に買ったから、それつまり妻さんと過ごしたこの十年が凝縮されていることになるのか……と考えてみると何ともスペクタクル。

息子が生まれた頃合いのプレイリストもあって、それがどこからどう聴いても無敵のハッピー感満載で、何とも微笑ましい。
東日本大震災後、計画停電で明日をも知れぬ日々を過ごしていた頃のプレイリスト。
旅行に行ったときに車内で流す用のもの
開店十周年記念のもある。

プレイリストに歴史あり。
たかが十年、されど十年。
そこには我が家の歴史が刻まれているような、そんな気がした。
うむ、面白い。

変化し続けながらも、その芯は揺らがない

KIRINJI が今年いっぱいで現編成のバンド活動を終了するそうで、そうなると弟の泰行さんが2013年に脱退してからの活動になるから約7年でか……早いな……

と思ったが、ビートルズは1962年のレコードデビューから1969年リリースの事実上のラストアルバム(になるのかな?)である『アビイ・ロード』まで、たった7年で駆け抜けたのか……

ビートルズ凄すぎるな……
凄すぎて震えが来るよ。

ビートルズの凄さなんて語り出したら止まらないし、全然終わらないのだろうけど、私が思うビートルズの凄さをちょっとだけ語らせて欲しい。

デビューから解散までに、その音楽性はあちこち変化しまくったわけだが、でもその楽曲全てが完全にどう考えても、何処からどう見てもちゃんとビートルズなところが凄い。
なんなんだろ。
それはメロディなのかな。
ハーモニーなのかな。
何かビシッと筋が通っているなと思うのだ。

変化し続けながらも、その芯が揺らがない……
私も自分の店を15年続けてきたが、我がDOODLIN’ BARBER SHOP に芯はあるかな。
メロディやハーモニーみたいな何かがあるかな。
あると良いのだが、それは自分ではわからんって方が良さそうだ。
自分で言ったら野暮になる。

さすがに15年続けてきたら、自分の後ろに道が出来てきた気がする。
それは狙ったものではない。
気づいたら、いつの間にか出来ていた。
狙ったものは全部ダメだった。
何の気なしに継続してたことだけが、道になってた。
そんな感じ。

続けるって大事だな……
近頃、十数年ぶりになるようなお客さんが相次いで、あゝ続けてきて良かったってしみじみ実感したんだった。

そういえば、我が息子も来月で7歳だ。
彼の7年もビートルズの7年と匹敵する濃厚濃密ぶりだと思う。
息子が特別だってわけではなく、この誕生してからの7年は誰しもが過ごす濃密な期間だと思うのだ。

その濃密濃厚な期間を一生のうちで、もう一度過ごすことが出来たなら、それはきっと幸福なのだろうな。

今回もまた、話が行方不明になってきたので、そろそろ筆を置こう。

股旅。

それは憧れの世界

音楽喫茶MOJO 店主の昭太郎さんに勧められて観始めたアニメ『映像研には手を出すな』が面白い。
ちょうど良いタイミングで、第一話から四話までを一挙放送してくれたので、それを一気に観た。

正直、女子高生たちのアニメ制作活動を描いた物語だと聞いたときは身構えた。
いわゆる「萌え」的な感じなんじゃないかと。
片寄ったオタク的世界観なんじゃないかと。

でも全然違った。
情熱と若さがほとばしる青春物語だった。
こういう学園では日陰者的扱いされてきた文化部の方々に光を与えた物語が増えてきたのは喜ばしいこと。
私が十代の頃には、ほとんどなかったもんな。

私の青春時代に、この『映像研には手を出すな』や、全巻揃えてしまった漫画『BLUE GIANT』(世界一のジャズサックスプレーヤーを目指す物語)や『ブルーピリオド』(東京藝大を目指す物語)みたいな作品と出会えてたら、影響受けまくってもしかしたら私の人生が変わっていたんじゃないかしらと……
とかそんな妄想をするのが猛烈に楽しい。

私は中学、高校、大学とさりげなくサッカー部に所属していたのだが、実際は根っからの文化部気質。
ただ、その道を行き極めるなんてのは夢物語だったわけで、だから、その夢物語の中を直走るこれらの作品の登場人物たちが羨ましくてしょうがない。
『表現』をすることに向き合い立ち向かう。
それは『自分』とは何者なのかを探究し続けること。
それは私の憧れの世界なのだ。

と同時に勉強にもなるのよね。
アニメ、ジャズ、絵画、どれもなんとなく知ってはいたが、やっぱりハンパなく奥深いのだなと教えてくれるのだ。
物語に乗っかりつつ、その専門的分野にグイグイ入っていける。
必殺技なんてもちろんなくてさ。
天才も描かれていれば、努力の人も描かれていてさ。
それが、自分の周囲の「本当」だなってさ。
天才まで行かなくても、「華があるかないか」ってのがキモだよなってさ。

まぁつまり、こういう作品に、もっともっと触れたいなと思うのだ。
『映像研に手を出すな』の今後の展開が楽しみ。
実写化もするらしいけど、それには興味なし。
アニメで、あそこまでやるから面白いのだ。

なんだか話が行方不明になってきたので撤退するとしよう。

選曲の先に見えた何か

とあるお客さんが来月頭に開院するとのことで、光栄にもその待合室で流す音楽を選曲してくれないかと頼まれまして。

患者さんはもちろん、スタッフも気持ち良く働けるような、そんな音楽でお願いしますとのことで、只今鋭意選曲中なわけでして。

尺的には、74分のCD-R、4枚ぐらいで考えでまして。
イメージもムンムン膨らませているところなんです。

そしたらですね。
昨日、その依頼者である某ドクターの方がカットしに来てくれたのですが、彼の胸にバイーンと抱かれているものに私は仰天したわけです。

こ、これは……

なんとそれは、Marshall の Bluetooth スピーカーで、それをなんと今回選曲することに対するギャランドゥーとして受け取ってくださいなんてさりげなく言うもんだから、床屋のおじさん狂喜乱舞しちゃいました。
だってこれ、ものすごく欲しかったんですもの。

当店で流す音楽なんですが、レコードでなら無問題。
でも、PCからの音を有線接続した外部スピーカーで流しているそれには大いに不満足だったわけです。
そこで目をつけていたのが、まさにコレだったわけです。
いや〜嬉しい!
ありがとうございます! 

で、先ほど接続を完了し、早速音を出してみたのですが、震えましたね。
記念すべき一曲目は、GOODLUCKHEIWA の“アユタヤ” をナイスチョイスしましたよ。
いや〜最高!

ココではないどこかで流す音楽を選曲し、それに対しての対価をいただけるなんて音楽バカ冥利につきます。
一応まだ情報解禁してないみたいなんで、どこのなんて医院なのかは明かせませんが、開院&情報解禁した後、もし行くことがありましたら、待合室でそっと流れる音楽に耳を傾けていただけたら本望であります。

とても良い機会を与えていただきました。
選曲の先に「誰かをリラックスさせる」ためにすべき何かが見えた気がしました。
自分の仕事にも反映させてみたいです。
ありがとうございました!

だからこそ読む

ふと思いついて『はだしのゲン』を再読することにした。
小学校の学級文庫棚にあったのを読んだ以来だから、四十年ぶりくらいになるのか。

当時、それはもう猛烈な衝撃を受けたのを覚えているし、原爆だとか戦争だとかに対する私の基本的な考え方、向き合い方に影響を与えたのかもな〜とページをめくりながら逡巡した。

全十巻で、今七巻の途中まで読み進めたのだが、正直、気が滅入ってきた。
それは残酷な描写だけではなく、戦争そのものと原爆を落としたアメリカだけでなく、日本人に対する怒りがそこに徹底的に描かれているからかもしんまい。

まぁホントしょうもない日本人が次々と出てくる。
腹立たしくてしょうがない。
心底ムカつかされる。
で、なんでその人達がヒトデナシになったか。
その原因は戦争と、敗戦から生じた貧困のせいだという作者のメッセージが叩きつけられているのだ。

私の記憶は七巻の途中以降からは途切れている。
きっと、この辺りで「もういいやー」とヤングテッペーは投げ出したのだろう。
でも、今の私は、来年五十路に突入する私は、ちょいと、いやかなりキツいが、踏ん張って最後まで読むぜ。

噂では後半は、かなり偏った作者の考えが描写されているらしい。
それが原因で図書館 & 図書室から『はだしのゲン』が消えたらしいとも聞いている。
ううむ……面倒くさそうだ。

だけどもだけど!
だから読む。
だからこそ、読まねばと思っている。
四十年ぶりに読む『はだしのゲン』よ。
私の心の奥底に爪痕を刻み込んでおくれ。