復活の兆し

少年時代に夢中になっていたプラモデル制作。

またいつか再開したいんだぜ!とずっと思っていたのですが、その切っ掛けがなかなか作れずにいました。そんな折、たまたま息子と立ち寄ったホビー店で、私が小学校低学年のときによく作っていたロボダッチの復刻版を発見。

こりゃリハビリには打ってつけだぜ!とゲットしたのですが、息子が目をキラキラさせながら「作りたい!作りたい!」とシャウトするものですから、二個セットのうち本命ではない方(ロボZ)を一緒に作ったんです。

まぁ予想はしていたのですが、これがどうもパンドラの箱を開けてしまったようでして。息子が、本命であったモビルタマゴローの方も作りたい!とスクリームしだしましてね。その情熱に観念して、また一緒に作ったんです。

でも、今回はあくまで私はサポートで、全工程のほとんどを息子の手で行い完成させたのでした。(いや、まだこれからデカール貼りと細かい塗装の修正&ウェザリングがあるかな……)私が息子と同年齢だった頃に作ったロボダッチを数十年後にまさか一緒に作るとはね。

まさにスペクタクルだなと。

現代っ子の息子にとっては、逆に新鮮なものになるってのも面白い。たしかに今リメイクしたらヒットしそうだなと思いました。もちろん私も火がつきましたよ。

この勢いに乗って、数年前に友人から頂戴して、そのまま物置に眠っているメガサイズ ザクをいよいよ作ってみましょうかね。

五十路になってからの、少年時代の趣味復活。

良いじゃないですか。

特別なもの

先日、独りでクルマを走らせていたとき。
ふと「特別なもの」ってあるよなぁと思ったのです。

近頃、大友克洋さんの全集が刊行されたり、松本大洋さんの作品があらためて文庫化されたりしているのですが、このお二人って自分にとって特別な漫画家だよなぁとあらためて感じ入りまして。

大友克洋さんは私が小学生の頃から、松本大洋さんは私が浪人生だった頃からずっと好きでしてね。
三、四十年経った今も、その動向を追いかけているし、何か新しいことを始めたと聞くとドキドキワクワクするんです。

たくさん好きな漫画家、その作品がありますけど、この二人は私にとって “特別” 、文字通り “特に別” だなと。

それが何故なのかをちょっと考えてみました。
多分なんですが、兄や友人たちから「これいいぜ」と教えられたのではなく、自分で見つけたからじゃないかなと。
しかも “タイムリー” だったということ。
現在進行形で対峙してきたからじゃないかと。

で、これって音楽とか映画とかにも当てはまりまして。
バンドだったら、THE BLUE HEARTS と FISHMANS 。
アニメだったら「機動戦士ガンダム」と「ルパン三世」。
スクーターだったらベスパ。
映画だったら、ちょと挙げるのは照れくさいのですが、コーエン兄弟とエミール・クストリッアの作品が当てはまるのですかね。
(映画に関しては深くは語れないし、影響を受けまくったってわけではないのですが、多感な時期に“タイムリー” に作品に触れられたってことで……。
タランティーノ作品には、嫉妬まじりのしょうもない感情があって背を向けていた時期もあったので選外。)

この上に挙げた私にとって「特別なもの」って、私の中で鮮度がずっと保たれているんです。
古くならないし、懐かしくも思わない。
ずっと進行形で色褪せない。
そう考えると、やはり十代二十代に持ち合わせていた “感性” もまた特別だよなぁと。

数十年経ってもそうなのだから、これから嫌いになることは、よっぽどのことがない限りまずないと思うのです。
だからね。
そういう「特別なもの」たちを、よりこれから大切に出来たらなと思うのです。

五十年生きてきて、自分にとって「特別なもの」とは何か……ってのをね。
他のジャンルとかでも「はいはいこれこれ!これだよね、これ!うんうん!」と再確認していきたいです。

生かされている日々

映画好きのお客さんが、劇場に足を運ぶ度にせっせと収集していたチラシコレクションの中から、うちの店に相応しいようなものをナイスチョイスして持って来てくれた。

で、その中から四枚を厳選してフレームインしてみたのだが、これがなんだかイイ感じ。

お客さんが選んだチラシは、どれも音楽を感じさせる作品ばかりで、そうかやはり うちの店は音楽か、そうかそうかとしみじみ納得している。

でも、こういうときに思うのは、これまたやはり 我が DOODLIN’ BARBER SHOP を作っているのは、私なんかではなくて、お客さんたちなんだよな〜と言うこと。
その辺、もっと自覚しろよと自身に喝を入れねばな。
自惚れるなよ、お前!ってね。

先週の土曜日、その前週に泣く泣くお断りしたお客さんが来てくれた。
それはつまり「髪を切りたいぜ!」という原始的衝動を一週間我慢してくれたということなわけで、「ありがとうございます(ペコリ)」と告げたら、「いやいやココで切るのが好きなんです。落ち着くんですよ」とのこと。

この「落ち着く」ってキーワード。
時折、お客さんたちから頂戴するのですが、よくよく考えたら、この言葉って最大級の賛辞なんジャマイカとあらためて感じ入ったんだった。

だって自分が「落ち着く」って言葉を枕に場所や空間や時間や関係を表現を もししたのなら、それってつまり「最高なんです!」という意味合いなわけで、なんか今更ながら とてつもなく嬉しい御言葉だよな……ってね、感無量だなってね。

自分の “落ち着く場所” って、どこだろうって考えてみた。
もしかしたら、この“落ち着く場所”を探すという行為が人生において大きな意味を持つんじゃ?なんて思い始めたんだったんだったんだったん。

そんなわけで、今日もマヒトゥ・ザ・ピープルの『不完全なけもの』を聴いている。
いや、聴きまくっている。
たまらなく優しい気持ちにしてくれるんだもの。

このアルバムと映画『東京ゴッドファーザーズ』が、ココ最近の大きな収穫だった。
大袈裟じゃなく「生きてて良かったぜ!」と感じさせてくれるような、私にとって、とても意味ある出逢いだったと思うのであります。
押忍。

そのカウンターの破壊力

とても素敵な陽気で気分はホクホク。
さてと、ちょっと散歩して来ようかしらんウフフと今ちょうど気持ちを盛り上げているところなのである。

先日、オレ史上『もしかして最低最悪の映画なのでは⁉︎』と思わされる怪作に出くわしまして。

この監督でこの脚本家でこの出演者だったら……うむ、名作に間違いない!
と思い込んでいたものだから、そのカウンターの破壊力は凄まじいものでした。

どれだけ優れた芸術家でも、その作品全てが傑作、名作な人なんていないわけで、これもつまりそういうことなんだな〜と独りしみじみしてたのですが、いや待てよ……もしかしてワザと酷く作ったんじゃ?まさか?

と今ちょうどなっているところでさ。
だって、スタッフロール見たら、スーパーバイザーとかいう肩書きで、どう考えてもこの監督と合わなそうな人の名前があったわけさ。

でも、例え嫌いなヤツとの仕事でも、仕事は仕事だ。
プロとして、やっちゃいけないことだよな。
なんつって、答えが出るのはまだまだ先になるだろうし、そもそも答えなんか無いかもなんですが、こういう不毛なことを悶々と妄想するのが好きなんです。

そんな最低な映画を観た翌日に、オレ史上五本の指に入るであろう素晴らしい映画に出会うのだから人生は面白い。
今敏監督の『東京ゴッドファーザーズ』というアニメ作品なのですが、作られたの二十年近く前だし、今敏監督が癌で四十六歳で亡くなって十二年経つし、何を今更と我ながら思うのだが、これが私のタイミング。
きっと今こそ観るべきときに観られたのだと思います。

で、さっき。
今敏監督の遺書を初めて読ませていただいたのですが、これも今読んで良かったです。
やはり全ては繋がっているんだな……ってことなんだと思います。
で、この『東京ゴッドファーザーズ』も、そういう偶然とか奇跡とか繋がりとかを描いている物語だと思うのです。
それはもうね、感動的なくらいに。
でも、ワザとらしくなくてね。
人生って素敵だよなって感じさせてくれるっつーとってもスペシャルな映画でした。

観られて良かった。
ありがとうございます♪

春の予感ばかり

先日、『空白』という邦画を観ましてね。それがもう骨が軋むような物語で、観終わった後しばらく放心してしまうような作品だったんです。

で、私はこのタイトル『空白』をですね。ちょっとネガティブな方向で解釈してたんですね。もう、そうに違いないと確信するぐらいに。

そうしたら、この作品を観た小山薫堂さんが、この『空白』を、希望がある、つまりポジティブなタイトルなのでは?と解釈していたんです。

それを聞いて、なんだかガーンと頭を殴られたような気分になりましたよ。
そうか、その方向があったのか……ってね。
自分独りでは絶対辿り着けない領域だなと思いました。で、薫堂さんの感想を聞いて、いやこれはもうポジティブな解釈に間違いないっしょ!とまでなっちゃって、自分の軽さに惚れ惚れしました。

こういう風に、全く違った角度から物事を捉えられる感性とでも言いましょうかね。それでもって、説得力もある。こういうのにも惚れ惚れしちゃいます。その手があったか〜ってね。憧れちゃいます。

いつ何時でもポジティブってのは無理があるし、ちょっと疲れそうですからね。晴れ時々曇り……みたいな感じで、余生は基本ポジティブ、でもときどきネガティブってなテンションで生きて行けたらなと思います。

逆もイイですよ。たまに、稀に、ときどきちょっとだけポジティブになる。その他は基本ネガティブで。これもまた、良し。どちらかに偏ってしまうのはスマートじゃない。

そんなわけで、近頃は高田蓮とブラッドサースティ・ブッチャーズばかり聴いてます。日に日に春めいてくる、この時季にジャストフィット・スムーズ・インなんです。