ここにしかない何処かへ

先日、某バンドのPVをぼんやりYouTubeで観ながら、そこに投稿されたコメントを眺めてみたんです。
そこには賛否両論雨あられ。
否の投稿で多かったのが「前は良かった……」「もう終わったな……」的なものでした。
これって作る側としては難しいところかと。
変わらなかったら変わらなかったで「ワンパターン!」「成長しないね〜」とバッサリ言われちゃうことも多いでしょうしね。
「わかってくれる人だけでいい!」
と開き直っちゃうのもなんだし、いやはやホント表現する側って大変だなあとしみじみ思いました。

 

でも、太く長い目で見ると賛否両論が起こらないものは、あまり良くない方向へ向かうことのほうが多い気がします。
だけどまあ、否定的な人たちを切り捨てろってのも乱暴だし、そこを満足させつつ変化してくっつーのはね、なかなか難しいんじゃないかと。

 

これって僕らの仕事でも言えることで、変わらない良さって大事だけど、やはり変化しないといかんよねってのがあります。
一応僕も自分と店の変えるべきでない良さをちゃんと見極めつつ、爆発的にさりげなく変化もしなくちゃなと意識しているつもりです。

 

こんなことを考えたりしている日々ですが、ちょうど良いタイミングでくるりの岸田繁さんがイイこと言ってました。

 

『日常生活の中では、欲をかいて色々やろうとすると、すぐに失敗する。
掃除と洗濯を同時にやれるのはプロだ。
味噌汁ときんぴらごぼうを同時進行で作れるのもプロだ。
ギターを弾きながら歌えるのもプロだ。

さらに言えば、AさんとBさんどちらも満足させられるのは凄くプロだ。

正直、ずっとそれが出来ればと思ってた。
万能感って言うんですかね。
言い換えればただの欲張りって言うんですかね。

でも、なんか最近そういうのんどーでも良くなって来た。
自分が満足すりゃええわ、くらいしか思わなくなってきた。
現実的に無理なものとか無茶な欲望にあまり振り回されなくなったような気もする。
これ結構俺の中ではデカい。

まぁ、歳やな……』

 

これを読んでガツンと来て、そしてそれからホッと救われるような気持ちになりました。
今年四十二歳になる(素晴らしい楽曲を多く作り、世にも認められている稀有な才能の持ち主である)岸田繁さんに今年四十七歳になる全く無名の小さな床屋の店主である僕が図々しくも共鳴しまくってみたわけです。
申し訳ない。

 

まぁ、歳やな……

 

この感覚、日々日常常々身の回りに横たわっています。
何を持って自分は満足するのか……
ここを探求していこうと思います。
ここにしかない何処かを目指して。

 

さてと。
一仕事取り掛かる前に 銀杏BOYZ の “エンジェルベイビー” でも聴きましょうかね。

 

ああ、気持ちイイ。

刈りアゲアゲな日々

おはようございます。
相変わらず寒いですね。
こうも寒いと、ちょっとだけお客様方をガッツリ刈り上げることに罪悪感。
根っからの刈りたがり症候群なものですから、スキあらば刈ってしまいがちですからね。
店を出た途端にクシャミを連発する姿を見ると胸が痛みます。
世間様ではどうやらインフルエンザが猛威をふるっているようですし、みなさまどうか自己防衛に努めてくださいまし。

 

さて刈り上げの話です。
僕は、三種のバリカンとハサミを駆使してお客様方を刈り上げているのですが、メーカーさんの方から「こんなのもあるよ!」って感じで次々と魅力的な道具が出て来ておりましてね。
今まで通り、今使っている道具たちで仕事をするか、新しいものを取り入れるかでいつも悶々しております。
そりゃ多い方がいいのかもですが、少数精鋭、自分が選び抜いた道具だけで挑むってのもクールなんじゃないかと。
そんな悶々です。

 

ともあれ、昨今の刈り上げブームは嬉しい限り。
世の男性諸君にはガッシガシ刈り上げていただきたいですね。
刈り上げジャンキーの切なる願いです。

 

そうそう。
最寄りのブックオフが近々閉店ってことで、書籍が全て半額で売られておりまして。
今度ゆっくりディグろうと画策しているのですが、まず手始めにずっと気になっていた『とんかつDJアゲ太郎』の1、2巻を108円でゲットしてみました。
とんかつ屋の跡取り息子揚太郎が、とんかつ屋とDJに数多くの共通点を見出し、そして両方の頂点を目指すと云う激熱マンガなのであるが、ここで私はピンと来たのです。
床屋にも共通点があるのではないかと。

 

作中にこんなセリフがあるのです。

『豚をアゲるか客をアゲるかに大した違いはない。重要なのはオマエがグルーヴを感じるかだ!!!』

髪を刈りアゲるのにも大した違いじゃないのでは?
ビビビッとそう閃いたのです。

重要なのは、自分がグルーヴを感じるか……

これにはグサッとやられました。
テッペー、お前はグルーヴを感じながら刈りアゲているか?
と自問自答してみました。
しかし、その答えは風の中。
どうにかその答えが見つけられるよう、床屋ととんかつ屋とDJのさらなる共通点が見つかるよう、この『とんかつDJアゲ太郎』を読み進めてみようと思います。

 

と思ったら、全11巻もあるのね?
このテンションのギャグ漫画を読み続けるってのは、それはなかなかの修行だぜ。
さて、ともあれ明日からまた刈りアゲよう。

 

股旅。

 

 

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オレのスピードはグングン速くなる

先日、テレビをぼんやり眺めていたら、仏師 運慶の様々な天才エピソードを紹介してて、中でも東大寺南大門金剛力士が阿吽像それぞれ3000に及ぶパーツで形成されていて、その設計図は運慶の頭の中にあったなんて話には大いに戦慄した。
やはり畏怖心を抱かせるぐらいのものでないと『天才』と称してはいかんなと思った。

 

四歳十ヶ月になるマイサンが大好きな映画『レゴバットマン ザ・ムービー』のスピード感が尋常じゃない。
息子の未来は、こんなスピード感の中で展開するのかもなとまたまた大いに戦慄した。
傑作名作と言われる半世紀前の日本映画を観ても「しかしまあゆっくりだな〜」と退屈してしまう自分に落ち込んでいたが、来たるべく息子の世代にはもう止まって見えるんじゃないかと危惧してしまう。
こんなことを書いてたら、真心ブラザーズの『スピード』が聴きたくなってしまうのはもうしょうがない。

二十数年前、この曲をアホみたいに聴きまくっていた頃は、この曲の歌詞

♪オレのスピードはグングン速くなる ボーッとしているお前の人生の十倍♪

に大いに共鳴し、これからの俺たちの時代のスピード感はハンパないぜと鼻息を荒くしていたもんだが、今度は自分が置いていかれる立場になるんだなと思うと嘆息が止まらない。
やはり時代は廻るのだね。
喜び悲しみ繰り返して。

 

時代は廻ると云えばだ。
いつまでも若手気分ではいられないのだなと今更やっと痛感している。
いつの間にやら、私も床屋キャリアが二十年をとうに超えた。
中堅、否、下手したらベテランとも言われかねない領域に突入したのかもしんまい。

バーバーバトル!そんなのあるんだ!

とちょっと興奮してみたのだが、出場者なんてもってのほか、私の年齢は今や審査する側なのである。
いや、でもそこで敢えて!と出場してみるのも粋ではあるが、例えば奇跡的に優勝出来たとしても、見苦しいぐらいの惨敗をしたとしても、どっちにしても痛々しいことこの上ないのである。

 

年相応の相応しい言動、佇まい、着こなし、生き様、エトセトラ。
これらを慎重に適切に見極めて歩いていきたいものである。

ともあれ、イイ感じ。

しかしまあそれにしても寒い。
ひたすら寒い。
骨身に凍みる寒さってのは、このことですね。
体の芯にズーンと来ますもの。

 

何かのテレビ番組で、四季があるのがそれほどイイかって云うとそうでもない部分もあるんだよね……だなんてことを言ってて、なるほどねと思ったんだった。
夏あれだけ暑くて、冬これだけ寒いと、なかなかのハードモードなのではと感じる。
衣服にも光熱費にも冷暖房器具にも、何かとコストかかるし。
何しろカラダによろしくない。
過ごしやすい春や秋もどんどん短くなって来てる気がするし、春には花粉野郎の猛攻があるし、秋は台風あるし、四季折々の美しさってのも素晴らしいけれども、春を待ち遠しく感じることに意味があるのもわかるけれども、それより何より楽なのがイイなぁとこっそり思っている。

 

先日の大雪にも参った。
幸い、当店は定休日だったから良かったけれども、あの中通勤通学するだなんて寿命を削るようなものだ。
そりゃ、ちょっとはウキウキする部分もあるけれどもね
ちょっと前までは、これも日々のアクセントになるよね〜ゲヘ〜
だなんて思ったもんだったが、出来たら降らないで欲しい。
降っても、ここまで積もらないで欲しいもんである。
それはさておき、近頃、読書が出来ている。

 

今、読んでいるのは『旅のラゴス』(筒井康隆著)
これがかなり面白い。
読んでいると不思議な浮遊感を得られる。

映画も観ている。

今、観ているのは『6才のボクが、大人になるまで。』で、これまたかなり面白い。
例によって、一日三、四十分ずつ観るてやり方なのだが、続きを観るのが楽しみでしょうがない。

もちろん音楽も積極的に聴いている。
これは、店内用のBGMとして流しているのはもちろん、それプラス攻めの姿勢であれこれ色んな音を聴こうとしていると云うことだ。

 

ともあれ、この極寒の中でもイイ感じだ。
悪いわね、ありがとね、これからもよろしくね。
そういうことにしておけば、これから先もイイ感じなのである。
まだまだここからがイイところなのである。

 

では股旅。