人生は不安タスティック

店内照明に使用していたエジソンバルブが切れた。
現店舗移転時からだから、7年1ヶ月頑張ってくれたことになる。

こんなシャレオツな電球なんて、どうせすぐに切れるんだろと予備も用意しといたのだが、まさかの超長寿命。
ごめんよ、おじさんキミの力をみくびっていたよ。
天晴だ!

バックルームで7年待機させられていた予備電球ちゃんも元気よく煌々と光を灯してくれた。
これからまた七年頑張ってくれるのだろう。
そのとき、おじさん58歳になってるよ。
この7年で、このエジソンバルブを買った店は無くなってしまったし、世間の灯りはLEDが主流になったし、2歳だった息子は9歳になったし、元号も変わった。

これから7年後。
きっと想像した以上に騒がしい不安タスティックな未来が僕を待っているんだろうな。

※注 『不安タスティック』とは

人生はつねに不安なものである、しかし、
「不安」に「タスティック」をつけることによって毎日をたのしんでいこうじゃないか──ということです。

「なんだって、不安じゃないとつまらないものさ」と、自分自身を洗脳していきましょう。

ぼくはつねに自分のことしか考えていないからか、昔から、人に叱られることが多いようです。

ですから、なにか行動を起こすとき、いつも
「叱られるんじゃないか、叱られるんじゃないか」と考えてしまいます。

逆に言えば、いつもそこから考えをはじめているのです。
それは確実に、ぼくの起爆剤になっています。
人生は不安だからこそ、ファンタスティックなのです。

みうらじゅん 

とりあえず ここはいい気持ち

お客さんから「もう作ることもなさそうだから……」と譲り受けたプラモデル。

五、六年、バックルームで寝かされてた “1/100 RX-78-02 ガンダム マスターグレードモデル” の制作に着手したのは、つい先日のこと。

なんだか最近、プラモデルのパーツをパチリと合わせる瞬間、脳内に快感物質が生じているのを感じる。
ふぁふぁ〜んとうっとりした気持ちなっているのだ。

これはなんなんだ?

少年時代、プラモ作りに夢中になっていたあの頃は出てなかったはずだ。
これは、大人になったからこそ出ているドーパミンなのだろう。
こいつはクセになるぜ。

何しろ、今のプラモデルは凄い。
金型をコンピュータで設計しているからだろう。
寸分違わぬ精度でピシッとパーツがハマる。
その瞬間がたまらなく気持ち良いのだ。

何なんこれ?

にしてもだ。
五十路ナイスミドルの趣味として、プラモデルは最高だなと感じる。

時間つぶせる。
コスト低い。
指先を動かすことによっての脳活性化。
集中力の拡大。
美意識の錬磨。
体力温存。

うむ、最高だな、やはり。

五十代に突入して思うこと。

「この今のオレの感覚、この奇妙な落ち着きは、年を重ねたからこその成長から来ているものなのか……それともただの “衰え” なのだろうか……」

そこに多分正解はない。
どちらかってこともないだろう。
どちらもってことなのだろう。

近頃、こういう “答え” が出ない疑問に頭を逡巡させることが楽しい。
結局 「まっいいか!」 と帰結するのも折り込みずみの妄想旅行みたいなものだ。

こういう感覚とプラモデル制作は相性が良いように感じる。
さりげなく、何かが研ぎ澄まされていくのを感じる。
ともあれ、とりあえず何だか良い感じなのである。
なので良し。

さてと。
LITTLE TEMPO をBGM に開店いたしましょうかね。

股旅。

梅雨明けと共に欲望もうなぎのぼり

史上最速の早さでの梅雨明けですって?
数年前にも、ものすごい早さで梅雨が過ぎ去ったことがありましたが、あれより早いのですか?
ああ、そうですか。

すわ異常気象か?

なんて空気も流れているようですが、自分にとっては、まだカブトムシを一匹も捕まえられていないことの方が大事件なのです。
すでにクワガタは何匹もガッシガシ捕獲しているのに、カブトムシが全く見当たらない。
こんなこと今まで一度もない。
例年とは真逆の展開ですよ。
何かカブトムシたちに遭ったのだろうか?
それとも誰かが独り占めしてるのかしら?

こんな冗談めかしく話してますが、ホントこれが異常気象の確たる証拠だったりして……
だとしたら怖いな。

最近またフィッシュマンズをよく聴いてます。
ドキュメンタリー映画『フィッシュマンズ』を観た影響ですね。
面白過ぎて大事に大事に、一日十分ずつぐらい観てましたもの。
もうね、終わってしまうのが嫌でしたもの。
でも、終わりは来ちゃうんです。
で、その余韻を引きずって、そして味わいたくて聴いてるんです。
このくらい、思い入れがあるバンドがあるって幸福だなぁと思います。
大事にします。

プラモデルも作りたい。
本も読みたい。
海外ドラマ『ベター・コール・ソウル』の続きが観たい。
梅雨明けと共に欲望もうなぎのぼり。
あ、鰻も食べたいな。

それでは股旅。

それは多分きっと役に立つ

まだ息子が幼稚園に通っていた頃。
息子が小学生になったら、彼が学校に行っている間に思う存分ゆっくりじっくり作るんだぜ!
と鼻息荒く購入したプラモデル “1/48 メガサイズ ザク” なのだが、作るタイミングを逸して四年が経ってしまっていた。

で、ここに来て息子の中で生じたガンプラブームの怒涛の勢いに押され、とうとう開封したんだった。
最初は一緒に少しずつ作ろうってことになっていたのだが、息子はほぼ一人で四日で組み上げた。
そこに情緒などない。
ただただ早く組み上げたい一心で夢中で作っていた。

出来たら、ゆっくりためて作って欲しかったのだが、思い返せば私もそうだった。
多少雑だろうが、間違えてようがお構いなし。
ともかく早くゴールしたいのだ。
じっくり作るような精神性を身につけたのは、やっと中学生になってからだったもんな。
そう思えば、まだ息子はほんのちょっと抑えて作ってくれたのかも知れない。

で、息子が仕上げたものを、ヤツが学校に行っている間にさりげなく手を加える。
塗装と軽いカスタムもしたいが、それはちゃんと相談してからにしよう。

にしても、とんでもない出来の良さだな現代プラモは。
接着剤もなし、全てカチッとパーツが組み合わさる。
ちゃんと色分けもされてるから、塗装なしでも、これだけサマになるんだから凄い。

私がプラモ作りに夢中になっていた40年前は、そのまま組んでも全然カッコ良くならないから、塗装と改造が不可欠だった。
だから、自分の下手さを痛感出来た。
今のプラモには、それがない。
ササッとカッコ良く出来上がるのだ。

こんなことを書いてると、さも昔は良かったな〜なんて話を床屋のオッサンがし始めやがったぜ!
と鳥肌立っているかもだが、ご心配なく。
私は俄然今の方が良いと思う。
こんなカッコ良いのがちゃちゃっと組めるんだもの。
最高だよ。

組立説明書め懇切丁寧でね。
対象年齢8歳からってのも頷ける。
小学校低学年の子どもが一人で組めちゃうんだもの。
凄いテクノロジーだよ。

もし、このままプラモデル製作に飽きが来ないのならば、少しずつ難易度を上げていけばよい。
出来ることが、一つずつ増えていくのは嬉しいもんだ。
どんどん物作りに夢中になって欲しい。
床屋のオッサンも、あの頃の情熱を復活させちゃうぜ。
それは絶対、仕事に役立つからね。

股旅。

VINYL GOES AROUND

「近頃、よく聴いているな〜店で流しているな〜ってアルバムを紹介してくれませんか?」

そんな有難い声をお客さんから頂戴したのです。

「ネットを眺めても、あれも良いこれも良い!
みたいな絶賛の嵐ばかりで、なんだかどうにもね〜
この人だったら……あの店で流れているんだったら……ってフィルターを通せば、ほらなんだか信頼できる感じがするじゃないですか!」

そんなお客さんの御言葉に、ふむなるほどと納得。
確かにそうかも知れないなと思ったのです。
私自身も「鵜呑みにしちゃう」ってことだけはしないようにしなきゃな!
と一応気をつけているからです。
これは音楽に限らず、本や映画や、果ては政治の話までも含めて「鵜呑み、それダメ絶対!」と心しているのです。

そんな世知辛い中で、私の“感覚 & 感性” を信じてもイイぜ……なんて奇特な方がいらっしゃるなら、その熱い想いに応えなくてはいかんな!
と鼻息荒くしている次第であります。

そんなわけで、近頃よく聴いている & この時季オススメの一枚がこれ。

『Letting Up Despite Great Fault』の2009年発表のバンド名と同名タイトルのデビューアルバムです。
ドリーミーでポップで優しくて、そして温かい。
つまり最高なアルバムなのです。

帯に

“個々の記憶や思い出に寄り添い、哀しいも楽しいも一緒に過ごしてくれるあなたにとっても大切な一枚になるはずだ……”

だなんて書いてあるんですが、まさにその通り。
私はきっと30年後、自分が80歳を過ぎても、このアルバムに耳を傾けていることでしょう。

もし私が、その前に華麗に ゴートゥーヘヴン してたとしても、妻さんや息子や、ひょっとしたら孫が聴いてくれていることでしょう。
この私のレコードを。

何せ 「VINYL GOES AROUND」ですからね。
素敵ですよ。
レコードは、音楽は何しろ素敵なんです。
ロマンティックが止まらないんです。

また近々、素敵なレコード紹介させていただきます♪

股旅。