サーチアンドデストロイな日々

思わず胸がズキズキワクワクするような、とびきり熱い話が舞い込んで来たのです。

当店の北側、某学校の農園芸グラウンドの向こう側の土地にですね。
どうやら縄文時代の竪穴式住居跡などの遺構があるっつーことで、埋蔵文化財発掘調査が行われるっつーんだからロマンティックが止まらないわけです。

ほんの数十メートル離れたところに、そんなもんがあったっつーことは、ひょっとして我が家の下にも?まさか?パードン?

と興奮してしまうのも致し方なし。
これで、かなり貴重なものでも発見されたりしたら、その場所は当然保護されるわけで、なんやら当初予定されてたらしい「駐車場・資材置場」が作られるっつーしょっぱい計画が無くなるわけで、それ即ち最高なわけです。
土器とか土偶とかバシバシ出てこないかな〜

もひとつ、胸のズキズキワクワクが止まらなかったのは、昨日一気に読んだ『サーチアンドデストロイ』(カネコアツシ著)なわけです。

この作品。
あの私の大好きな『どろろ』(手塚治虫著)をリメイクしたものでしてね。

どれどれお手並拝見いたしますか!

だなんて、斜に構えて読み始めたのですが、これがもう最高で鳥肌が立ちまくってしまったのでした。
私が今までに観た、聴いた、読んだ、嗅いだ?
あらゆる分野のリメイク作品の中でも最高峰の傑作だと思いました。
(実は読もうと思って手に入れたのは昨春のことでして。何だ読み始めるタイミングを逸していたのですが、ピピーンと思い立ち一気に読んだのでした。相変わらず、こういうタイミングは掴めていれぜと実家。うふふ)

さてと。
次は何を読もうかしら。
何を観ようかしら。
何を聴こうかしら。
おっと、それから何を作ろうかしらん……

そんなことをボンヤリ考える幸福、プライスレス。

それでいい

あれは四十数年前にもなるのか。

少年テッペーが、初めて作った戦車(正確には対戦車自走砲)のプラモデル、それがこのタミヤの1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ 『ドイツ マーダーII 』だった。

その側面に描かれたヒゲオヤジのマスコットに強く惹かれたのを覚えている。
しかし、作り始めたらそのあまりの難しさに早々にギブアップ。
さっさと放り出してしまったんだった。

それが巡りに巡って、再び作ることになるから人生は面白い。
しかも、当時もの。
すなわち、三、四十年前に販売されたキットが、何処かの誰かの家の押入れにでも眠っていたのだろう。
若干の芳香剤的香りをまとって、リサイクルショップで私の前に忽然と現れたのだから震えが止まらないのである。

五十路に突入して三年にもなるナイスミドルな私
なのだから、こんなのチチンプイプイだぜと思いきや、なかなか苦戦した。
こりゃ、あのとき弱冠十歳であった少年テッペーに作れっこないわけだ。
ま、それなりに頑張ったよな。
褒めてつかわす。

そして、どうにかこうにか完成し、その仕上がりには全く満足はしていないが、それなりのリベンジは果たせたんじゃないかと自負してはいる。

プラモデルを通して、少年テッペーに再会することが多々ある。
あの時、あの頃の空気感、匂い、手触りまでが蘇る瞬間はクセになるほど楽しい。
自分が歩んだ道が見えてくるようで、満たされる何かがある。
でも、その何かが何なのかはわからない。
なんじゃそりゃ。

ここに来て、周囲の空気が濃密になり始めているのを感じる。
これは何かの暗示か。
もしくは何かしらの啓示なのだろうか。 
悪くないものなのは確かなのだが。

結局、何もわからないまま日々は過ぎて行く。
それにちょっと焦ったり、不安タスティックになったりもするが、それもまた良し。

それでいいんだよ!

と、今日もナイスな音楽が私の肩を叩いてくれる。

ともあれ、春よ。
もうちょっと踏みとどまっておくれ。
まだまだ初夏は遠くて良いからさ。

股旅。

新しい夜明け

本日、まことに有難いことに私の誕生日でございまして。
どうにか無事にさりげなく五十三歳になれました。
ありがとうございます。

そんな目出度い日和なので、今日の店内BGMは、ひねもすKhruangbinをナイスチョイス。

こんな音楽が似合う店にしたい。
そんな店に相応しい床屋のオッサンになりたい。

そんな願いがこもった選曲でございました。
リリースされたばかりのKhruangbinの新譜も言わずもがな最&高。
こういう音楽が生まれる時代に感謝です。

五十三歳の床屋のおっさん。
今年で二十周年を迎えるややクセの強い我が店 DOODLIN’ BARBER SHOP。
だからちょっと、思い切って仕事用のシューズを新調してみました。

この十数年愛用していた “adidas / CAMPUS” から、ずっと憧れていた“adidas / SUPERSTAR 82” へ華麗なるチェンジ。
この SUPERSTAR 。
三十年ほど前「やっぱこれだぜ!」と一度購入したことがあるのですが、なんだか違う。
オレが「無茶苦茶カッコいいぜ!」と思ったのと色落ち?やれ感?空気感?

いろいろと違っててダサかったのだ。
なので、後輩に「それダサいっすね!」と笑われたときも「だよね!」と素直に思ってしまったほど、明らかに明白にダサかったのである。

何故そうなのかわからないまま、憧れの思いを抱いたまま、数十年が経ち、ずっと避け続けていた “adidas / SUPERSTAR” を履くことを決意したのです。
これは、私の中で途轍もなく震えるほどの大事件なのである。 

幾人の方々からアドバイスをいただき、どうやらこの “SUPERSTAR 82” がそれに近いんじゃないかと確信し注文したわけです。
それが、私の五十三歳の誕生日当日に届くんだから、これはもうドラマチックにならざるを得ないわけです。
こんな気持ちわかるでしょう。

本も読めてます。
数日前に読み終えた『遠い日の戦争』(吉村昭著)に心突き動かされ、昨日から読み始めた『ルーアンの丘』(遠藤周作著)にも、ズキズキワクワクさせられまくっております。

兎にも角にも、まわりに溢れる愛に感謝です。

DOODLIN’ BARBER SHOP 店主 高崎哲平 拝

グッドバイからはじめよう

毎年、この時季になると我が家周辺をツバメが飛び交うのです。
軒下まで入ってくるし、一度は店内に入って来たこともある。

専門家ではない無知男なりに推測するに、これはもしや巣を作る場所を探しているのでは?どう?

で、まだ巣が作られたことはないので、彼らのお眼鏡にかなわなかったのでは?どう?

と考えているのです。
今、この駄文を書いてる最中も、ツピッピさえずりながら、軒下を偵察していやがって、なんだかとても可愛いのである。

ほら、軒下に巣を作ったツバメは雷や火事を防ぐ生き物だなんて縁起が良いだなんて言われているじゃないですか。
我が家には既にアオダイショウもいるわけで、ツバメが揃えば、それはもうハッピーGOラッキーじゃないかと。

だなんて、欲深いこと考えてるから華麗にスルーされちゃうんでしょうね。
先程も写真を撮ろうとヒッソリ待ち構えていたのですが、そうした途端ピタリと来なくなり、店内に入るや否やツピツピ再来するのだから笑えます。

話は変わりますが、この日記。
うちの小6息子も読んでくれているんですよ。
今の小学生は一人一人にタブレットが配られているじゃないですか。
それを使ってアクセスしてるんです。
凄くないですか?

で「プラモデルの話を書いてよ!」とせがまれるのですが、床屋のオッサンがプラモデルのことばかり書いてたら「それってどうなのよ?」ってなるわけで、でも小学生にはそんなことわからないわけですよ。

ブログを書き始めて二十数年。
まさか自分の息子に読まれる日が来るとはね。
そんなの充分にあり得ることなのに、全く考えたことなかったです。
なんだかスペクタクルだな〜

息子よ。
今回もプラモデルの話はなしだ。
すまん。
写真は、いつかもしかしたらツバメが営巣するかもしれない我が家のポーチだ。
作ったら、掃除がちょっと大変かもだけど嬉しいね。

股旅。

読書のすゝめ

ここ最近、二冊連続で心の奥底まで激情が染み渡るような本が読めていたので、すわこのまま読書モードに突入か!
と思いきや、三冊目でウンジャラゲ。

今頑張って四十ページほど読んでいるのだが、今にもギブアップしそうなのである。
まず、文体のリズムが合わない。
そして、世界観が好みじゃない。
さらに、登場人物全てがいけすかないっつー三重苦。

読み始めてすぐに気づいてはいた。
この本は私に何ももたらしてはくれないということを。
下手したら、たった数行読んだだけでわかってしまうときすらある。
あ、このリズム心地良くないって。
こうなるともう、内容とか展開も関係ない。
リズムが合わないってだけで読めなくなるのだ。

人の好みって面白い。
私がウンジャラゲと思ってしまう作品が、どこかの誰かは大好きだったりする。
私が到底耳を傾けなさそうな音楽が、どこかの誰かの救いになっている。
私が観ようとすら思わない映画が、どこかの誰かにとっては生涯忘れられない名作だったりするのだ。

なんでかな。
なんでだろ。

何がどう違うのだろうか。
何で心動かされる物事は人それぞれ違うのだろうか。

なんて、思春期の中学生みたいなことをぼんやり思案するのが好きだ。

ああだこうだ言ったが、この本はちゃんと読破するぜ。
今、そう決めた。

で、次の読む本も決めている。
『遠い日の戦争』(吉村昭 著)だ。
吉村先生の作品にハズレなし。
私はそう信じている。